地域交通政策の新展開―バス輸送をめぐる公・共・民のパートナーシップ
高橋 愛典 / 白桃書房
を熟読中。
ふだんの読書は、まず全体をばぁーっと流して読み、それから、
気になるところ、印象に残る箇所をじっくり読むというスタイル。
それが、最初からじっくり腰をすえて読もうという気になったのは、
この本が、バス輸送という事業を基礎的な部分から丁寧に分析し、
自治体(公)・住民非営利組織(共)、事業者(民)のそれぞれにおける、
バス輸送をめぐる行動原理を明らかにしようとしているところにある。
この分野では最近、ややもすると事例集的な内容の文献が多かった。
そのことは決して無益ではないのだが、やや食傷気味の感もある。
それに対しこの本は、まさに「乗合バス事業の原理論」ともいうべき内容。
「見えるネットワーク」の鉄道、「見えないネットワーク」の航空や海運に対し、
乗合バスの路線網は「見えにくいネットワーク」という特質を持ち、それが
人びとのメンタルマップに描かれにくいという欠点を持つという指摘など、
経験上漠然と感じていたことが明文化されていて、なるほどと思わせる。
じっくりと、でも早く読み終えて、同じ業界にいる仲間たちにも勧めたい。