例えば札幌市では、70歳以上の市民に市営交通(地下鉄、路面電車)と
市内の民営バス3社に乗車できるカードを交付している。
但し本人の一部負担があり、利用限度額も年間7万円となっている。
この制度で、市が交通事業者に支払う負担金は、あくまで
運賃の一定割合分を高齢者に代わって支払うものであり、
補助金とは言い難い。
ただし、このカードにより高齢者のお出かけ手段が確保され、
特に民営バス路線のサービス維持が図られている見方もあろう。
その意味では当該制度は補助金的な側面もあるかもしれない。
いちばん良くないのは、本人負担なしで市が高齢者に乗り放題の
フリーバスを交付する制度であろう。
札幌市も以前は本人負担なし、利用可能額も無制限であった。
これは経験からの私見であるが、お客様を安全にお運びした対価を、
目に見える形でいただけない制度ほど、従業員や事業者の
意欲を削ぐものはない。
現在でも札幌市の高齢者カードは、交通事業者が一部負担している。
事実上の運賃割引である。
交通事業者が誘客・需要喚起を図るための営業政策的な割引と、
自治体が福祉などの観点から要請する社会政策的な割引とは、
明確に峻別されなければならない。