白糠町二股。
旧国鉄白糠線の終点―北進駅は、この二股の地にあった。
建設当時、鉄路は峠を越えて足寄のほうまで延伸する計画があったという。
北を目指すという意味をこめて、北進という駅名が付けられたという話を
どこかで聞いたような記憶がある。真偽のほどはわからない。
「北進」は今も、簡易郵便局や学校にその名をとどめる。
いや、今も、というのは半分正確でないのかもしれない。
石碑の裏を見ると、5年ほど前に閉校された旨が刻まれていた。
見た目では、この二股が沿線でまとまった集落のようである。
白糠駅前のターミナルから乗った初老のおばさん2人は、二股まで一緒だった。
2人とも両手いっぱいに買い物袋を提げて、家路をたどっていく。
まさに生活の足としての町営バスであることを、実感する。
終点での折り返し時間20分は、長いようで短い。
半ば義務であるかのように、帰りのバスに乗り込んだ。