夕張は母の生まれ故郷である。
炭鉱が閉山し、人口が減る一方で、観光関連の
いわば「ハコ物」が次々と建てられていくさまに、
「誰かにおもねっているようで、いやらしい」
「夕張らしい、そのままの姿で、静かに朽ちていってほしい」
と、いつも母はつぶやいていた。
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夕張市の財政破綻が表面化した。いろいろなことが言われている。
が、観光のハコ物にしろイベントにしろ、ことごとく市の北半分に集中し、
夕張メロンや工業団地の工場で、北より稼いでいるであろう南半分には、
目立った行政投資がほとんどなされていないことについて、
世のマスメディアは、全くといってよいほど触れていない。
このほど中止が決まった「国際映画祭」にしても、
盛り上がっているのはイベント会場が集中する北半分だけで、
南側の住民はしらけている、という話を聞いたことがある。
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夕張市の再建には、これまでのこうした「北半分偏重」について、
いちど関係者が本気で総括することが必要だと思う。
今年になって、夏祭りが急に南側に会場を移して開催されたが、
それが総括の結果だとすれば、あまりに安易である。